富士スピードウェイの裏側。
2019.12.05
11/23.24と富士スピードウェイで開催されたヴィッツレースグランドファイナルへ参戦してきました。
たくさんの感動や悔しさをこのレースでは、観て感じる事が出来ました。
少しでも、この想いをたくさんの方と共有できればと思っています。
レースに参戦する以上は結果はとても重要です。
・・・ただ、結果とともに、どんな背景があり、どんな想いで選手やサポートチームが
富士で闘っていたのかを一緒に感じて下さると幸いです(*^^*)
ですので、レース結果よりはレースの裏側をご紹介します。
(レース結果に関してはインスタをご覧ください。)
★ネッツトヨタ神戸Instagram
https://www.instagram.com/netzkobe/
まず11/23の予備予選。
↑こちらの写真、夜じゃないですよ。
太陽の昇る前、
朝の5:00からレースに向けて整備や打ち合わせに入りました。
明かりは電灯と携帯の明かりだけ。
寒さや雨、暗さと格闘しながらのスタートになりました。
いよいよレース。
自分が出走する訳ではないのですが、サポートメンバー全員、顔がこわばり、
ドキドキが止まりませんでした。
めちゃくちゃ緊張していたのを覚えています。
↑パドックに入る前。
選手以上に緊張していたのはチーフエンジニアだったのかもしれません。
いつもの柔らかい表情はレース前には見ることは出来ませんでした。
予備予選の結果はネッツ神戸の選手全員予選へあがれました。
予選も無事に走り終え、次はいよいよ11/24の決勝。
少し、緊張のほぐれた選手。
頂いたステッカーに皆のテンションが上がりました。
「ネッツ神戸初の選手全員での決勝進出」
パートナー(ヴィッツ)を雨の中、大事に拭き、乾燥させてその上から嬉しそうにステッカーを貼る。
何気ない、こういった事さえ一緒にレースへ参加すると嬉しく感じました。
彼らが頑張った証がステッカーになったんだと思いました。
↑いよいよ11/24決勝の日。
もちろん、太陽の昇る前から全員始動。
前日の走りをメンバーで振り返り、大舞台に備えます。
社長からも選手一人ひとりと熱い握手。
頑張って勝って欲しい…
それはもちろんですが、
何よりも無事に無事に帰ってきてと、
参戦する3台のヴィッツたちにお願いしてまわりました。
レース中、自分の仲間のゼッケン番号を実況中継で呼ばれる度に一喜一憂し、
たくさんのヴィッツ達の中から探す。
仲間のヴィッツが目の前を走り抜けたら、走行中を映してくれる大画面と順位が随時発表される
電工掲示板を目が必死に行ったり来たり。
朝からカイロと分厚いGRジャンバーを着こんでますが、
予備予選、予選、決勝とレースが始まると寒さなんて忘れます!!
目の前を走る仲間のヴィッツしか目に入らなくなります。
「波乱万丈」
喜んだり、悩んだり、考えたり、悔しい想いもたくさん。
いつもネッツの店舗でしか観たことのない仲間のいつもと違った表情。
ぜひ、ネッツトヨタ神戸の店舗でレースのメンバーを見かけたら、
声をかけてみてください。
そして、ぜひ生のレースを観に来て下さい。
レースでしか味わえい感動があります。
私はレースで、この会社が、仲間がさらに好きになりました。
自信を持って言えます!!
次のレースでは、ぜひ一緒に応援しに行きましょう。
ヴィッツレース 第一戦! 後編
2019.04.19
※こちらは続きとなります。よろしければ第1部よりお読みください。
ここをクリック(前編)へ
スタッフ1名1名の想いで車を修復させ、たった1日で見事に蘇った22号車。前日あれだけ瀕死の状態からの復活・・・。
今回留守番だったピンクのパーツを一晩で移植し何事も無かったかのようにそこにいる。まさしく不死鳥という言葉を目の当たりにしたような感覚だ。
恐らく今迄のネッツ神戸史上一番の熱量を持っての復帰だ。感慨深い想いで全員が車を見守る中、一際目を輝かせたフクが横にいた。
「ただいま」「おかえり」「また一緒に走ろうな」
車好きは自分の車を相棒のように擬人化しもてなす。それが愛情を深め、きっても切れない関係性を構築する。
クルマをふきあげるその背中を見るとまるで彼と車が怪我から復帰したアスリートとサポートするトレーナーが
会話をしているように聞こえてくるから不思議だ。
一体感があるのは彼と車だけではない。スタッフはもちろん遠方はるばる応援に駆け付けてくれている
お客様までもが同じ目をしている事に気づく。
恐らく一番一体化した瞬間ではないだろうか。出走中以外でもこんなにも一体となれる瞬間はそうはない。
その気持ちでキッズに増し締めをお願いする。
お客様は気付かなかったかもしれない。スタッフの笑顔の下に隠れた感謝と感動を。
本当にありがたい。力を貰っていると思える瞬間。レースをやって心から良かったと思える瞬間だ。
応援に来れなかったキッズたちのメッセージもスタッフたちのお守りになっている。毎回レース前に絶対に目立つ
場所に掲示する。気持ちを高めていくのはもちろん、スタッフが想うキッズに対しての敬意なのだ。
さあ決勝が始まる。
今年から総監督に就任した元エースから手ほどきを受ける時には既に感慨も吹っ飛び勝負師の目に変わる。
あれだけ皆がやってくれたんだ。応えない訳にはいかない。
少しオーバーヒート気味の気負いでスタートを待っているとモリがフクに声をかける。
交わした言葉は無い。でも何が言いたいかは分かる。
「お前と一緒に絶対走り切る」
お互いが押さえ合ってお互いが押し上げあう。2年の時間を経て2人は高め合うとても良い関係になっていた。
上手くクールダウンされたフクは既に落ち着いている。
ネッツ神戸という看板を背負う重圧。通常業務をしている地元での社員からの応援。お客様からの大きな期待。
それを分かった上で落ち着いてシートに座る2人がいた。
決勝は雨。路面は完全なウエットだ。滑りやすい路面をどれだけマシンコントロール出来るかが鍵となる。
スタート前の完熟走行時、モリはステアリングを両手で10時10分方向で握り路面の状況を確かめながら走行する。
スタートした。
激しくワイパーを揺らしながら第一コーナーへ飛び込む。リカバリーをさせてもらえなかったエースのモリは
8番手スタート。いつもよりかなり後方スタートなので余計にプレッシャーがきつい。
何処を走っても水しぶきを巻き上げるほどに路面は水を含んでいる。ところどころに吸水許容量を超え
水たまり化している路面がありクルマがそこを通る毎に大きいしぶきで視界まで奪われる。
そんなマイナス要因だらけの状況においても果敢に攻め続ける。一瞬1台に抜かれるもすぐに抜き返し、
ダンゴ状態になった先頭集団に攻め込む。
言い換えれば先頭集団は大きなクルマの壁になっている状態。
ここから冷静に攻め込むタイミングを計る・・・が、後方で多重クラッシュが発生しセーフティーカーが発動
暫くクールダウン走行となる。流石に苛立ちを感じる。いつでも冷静なのかと思いきややっぱり勝負師。
エースの血を受け継いでいると感じる。
シグナルが青に変わったとたん流れる景色のスピードが劇的に変わる。一瞬で戦闘モードとなるモリ。
シフトチェンジにも勢いがあり迫力があるままコーナーへ突っ込む。横へ滑ろうとする車を
抑え込みながら前へ進める。
1台が若干のコースアウトしたのをきっかけに順位を上げ次のコーナーであっという間にもう1台を外から追い抜き
前の車をテールトゥノーズでプレッシャーをかけ始める!
いつの間にか後ろにいるという表現を彼にはよくしていたのだがスタートが後方だったこともあって
そんな感じではないアグレッシブな走りを(まるで前エースをトレースするような)走りだ。
濡れた路面を味方につけたように綺麗に車を進めていく。
どの車もウエット路面で左右に振られながらも必死に押さえつけて走っていたが
コーナー前の前車の一瞬の失速をついて鼻先を出す。
画像だけ見ていると簡単に見えるが相手は上位に入り込む猛者だ。
これはエースの天性のセンスで順位を上げたその時だ。
ふっと左を向き追い抜いたことを確認して思わずガッツポーズ!
フクが走る2台後ろにまで付ける。3位と8位スタート。
エースは猛者達が建造した大きな壁をかいくぐって6位にまで浮上したのだ。
一方フクは1つだけ順位を落として4位のまま膠着状態を続けていた。
去年まで出走したら中盤か中盤より少し下を走っていたり予選落ちも経験している。
去年は公私ともに試練の年だったと思うがドライビングはもちろん
メンバー内のムードメーカーとして大きく機能していた。
彼が笑うとつられて笑ってしまうような引き込まれる明るさがあり
どんな状況においてもそれを絶やす事が無い。
そんな彼に救われたメンバーも多く、チームという枠を超えレースに来ている
他チームにもかわいがられる存在だ。
そんな彼がまるでたまっていた水を一気に放出するダムのようにいきなり大きく躍進した。
そして今回は誰よりも「ヒトの力」を感じながら車を走らせていた事だろう。
メンバー全員の力で乗り越えて今走っている。
さあ6位につけたモリ。順位が上がれば上がるほど猛者ばかりだ。
もちろん更に上に行くにはハードルが倍以上高くなる普通ならもう無理と思いそうなところだが
彼にはその高さがモチベーションに繋がっていた。
次のコーナーでスルッとイン側につきコーナーを抜ける。
濡れた路面はスロットル操作にシビアさを要求し、踏み込み過ぎればスピン、
不足すれば追い抜かれるという絶妙なコントロールが必要な場面においても冷静に周囲を見つつ
クルマを前に進める。
追い抜くまでには至らなかったが、後車の追い上げ恐怖という心理的なプレッシャーを与え、
「追う者の強さ」という心理的優位を奪取。そして次のコーナーで見事に追い抜いた。
テクニックはもちろんそう言う部分も含めてすべてを総動員しないと追い抜けない。
それほどシビアな世界なのだ。
さあ、残るは4台。前車は一緒にわかちあってきたフクが駆る不死鳥ブルーだ。
モリはエースの名にかけて勝負をかける。ある意味お互いの走りや癖を知り尽くしているので
予想外の事が起こるという不安が次の操作の選択肢を悩ませる。
ここら辺りからモリもフクも限界を少し超えた走りをし始める。
路面方向とブルーの鼻先のベクトルが合っていないのがお分かり頂けるだろうか。
横滑りをしようとする車をステアで押さえつけ、最速で走り抜ける。
でもやはりモリはエースだ。コーナーを抜けるたびにブルーに近づいていき
ついにはナンバーも読める程に接近。
そして・・・
4位に浮上したモリ。3位は遥か前方に位置しマシン性能が同等
なのも考慮すれば追い抜き可能性はゼロに近い。でも今まで以上にアグレッシブに車を走らせる。
前エースが残した「No Surrender」スピリッツはクルマに対しても。
レースドライブに対してもネッツ神戸の中で脈々と息づいている。
レースはこのままモリが4位、フクが5位でフィニッシュした。
出走44台。猛者ばかりの中でこの順位。終わってみれば両方がポイントをGET出来る大快挙だ。
良い走りが出来たのも。この気持ちを保てたのも全てはエンジニアを初めとするサポートスタッフ、
そして心から応援してくれるお客様のおかげだ。こんな場面では皆に走らせてもらった・・・
という想いが強いのは当然だ。
でも私の感覚では少し違う。応援したい気持ち。支えたい気持ち。その気持ちが本人に意図通りに伝わり
一生懸命応えようとしたことが素晴らしいのだ。
いくら周囲が声を上げても結局生かすのは自分次第であり、それをちゃんと受け取り頑張ったからこそ
成し得た結果なのだ。
最後に応援で支えてくれたお客様、参加スタッフたちにドライバーからの挨拶が行われた。
おそらくいろんな想いが交錯したのだろう。フクは嗚咽で言葉にならなかった。
「感動」とは少し違う。全員の力で蘇らせたブルーで結果を出せたやりがいと全員への大きな感謝。
いや、何も言わなくていい。今迄を全員がずっと一緒に見てきたのだ。
その顔を見ただけで。その態度を見ただけで十分すぎる程に伝わる。
こちらこそ感動をありがとう。素晴らしいドラマを創ってくれたスタッフ全員に拍手を送りたい。
当社のレースシーズンはまだまだ始まったばかり。
これからも様々なドラマを創っていきます。是非一緒に応援してください!
No Surrender
2019.03.26
VITZレース 第1戦 鈴鹿。
早いものでこのVITZレース活動を始めて3年が過ぎた。
「もっともっと車を好きになろう!」の合言葉で見よう見まねで
訳も分からず参加したのが昨日のことのようだ。
今ではお客様も応援に駆けつけてくれるようになり
今では当社の中で定番化した活動と言えるであろう。
今年は変革の年となった。
エースであった勝利レッドのエースがヴィッツを卒業。
86ではステアリングを握り続けるものの、
この一連のレース活動の総監督に就任。
ブルーに乗っていたルーキーがエースの称号であるレッドに。
中堅エンジニア(フク)がブルーに変更。
そしてフクが載っていたピンクには新ドライバーが参戦する予定だ。
今年で3年目になるモリとフク。
エースが卒業となった今、この活動を伝承していく重責を
担う事になる。
予選スタート。
正直な所、佇まいからも想像できるように走りも
モリが成績優秀、フクが見た目面白的なイメージがあり
モリが遥か先を先行しフクが後からビジュアルで魅せるという
のが定番だったので今回もそんなイメージで見ていた。
エースであるモリは予選前の占有走行では2番手。
予選で自分の走りが出来ればポールポジションも夢ではない。
走りにもそれが見て取れ、アグレッシブに攻めることで
タイムを重ねていく。
意気揚々と素晴らしい走りを見せる、、、が、
走行位置があまり良くなかったのもあり、自分がシュミレートした
思い通りとはいかず途中からは焦りが見え始める。
ドライバーの技術と気持ちとマシンの状態、
刻一刻と変化する周囲の状況。そしてお客様も含めたレースに係る
全員の気持ち。全てが1つになって初めて良い結果が生まれる。
一度ズレ始めたリンクは少しづつ蝕んでいく。
そして第一コーナーでスピンしてしまう。
気合を入れなおしてシフトを入れてリスタート。
その刹那、それまで素晴らしいタイムを重ねていたフクが
第一コーナーで大きくスピンしマシンが横転してしまう。
この時点で赤旗中断⇒終了となり予選が終わってしまった。
終了次第のタイムを取られて順位をつけられるため
モリはリカバリー時間を与えられず8位。
フクは自己最高の3位スタートが確定した。
幸いフクのけがは無かったがマシンは大怪我を負ってピットに帰ってきた。
言葉を交わさなくても状況を見ただけで誰もがこれをこれ以降の参戦は
無理だと思わせるに充分な「満身創痍」の状態だ。
瀕死の状態の家族に寄り添って手を握るような気持ちでマシンの横で
ただただ辛い顔をしたフクがいた。普段底抜けに明るいフクが雰囲気に完全に飲まれ、
折角の好タイムも吹っ飛んでしまい、そんな事より大事な車を怪我させてしまったという
自責の念で決勝に向けて気持ちをあげる以前の状態になっていた。
どうすれば良いか分からない。でも自分では何もできない。
でもどうにかしてやりたい。元の状態に戻してやりたい。
堂々巡りの気持と戦っていると自然と涙が出てきていた。
必死に自分に言い聞かせ、自分を説得しているかのような
迷いのある佇まいを見て周囲もそういう思考に支配されていく。
もう無理だ・・・諦めるしかない・・・
しかしその中に1人だけ冷静に状況を見極め、
全員ダメだと思っている中で1人だけ明日何事も無かったように
車が走っている姿を想像して前向きに行動している男がいた。
エースエンジニアのオガだ。
クルマを見つめるその姿は俯瞰で見ると冷たいように見えたかもしれない。
でも見た目からは分からないオーラを力強く放つ。
フクの気持を痛いほど理解しているからこそ熱い気持ちでクルマに視線をぶつける。
去年まで整備士の最高峰の資格試験等で大きなハードルを
努力で超えてきたガッツ。しかも必死に頑張って掴んだ好タイム。
言葉では言わないけれど今迄の必死の努力を知っている。
晴れ舞台に水を差したくない。いや、させるか!
彼の整備士魂に火がついた。
明日是が非でも満足に走れる状態に。
次の日の朝にはその状態にする。
こうなれば良いな・・からそうやりきるんだ!へ。
それには何が必要か。作業時間はどうか。
ゴールは決まっている。彼の中で膨大な逆算が始まった。
細々した作業を全て1人でシュミレーションし、出てきた答えは
彼の技術力と作業効率をもってしてもギリギリの計算結果。
行ける!いや、アイツの為に行かなくては!!
「朝までに治すぞ」
静かではあるけれと力のこもったオガのたった一言。
オガがフクの肩を軽くポンと叩く。
「任せろ」
実際にこういったのではない。
でも肩を叩くそのしぐさがそれを意味する。
お前1人の責任ではない。苦しさを1人で背負うな。
明日安心して走れるようにしてやるから任せろ。
たった一つのしぐさで全ての意味を理解したフクは
今迄1人で耐えてきた自責の念のタガが一気に外れ
大粒の涙を流す。
「ありがとうございます・・・」
消え入るような声でエースエンジニアの背中を見つめ
祈るような気持ちで車を見つめていた。
気持のスイッチが変わったのはフクだけではない。
周囲の状況が大きく一変した。彼の一言で迷いが一瞬で消えさり、
今迄バラバラだった個々の気持が「朝までに治す」という目標を
得て全てリンクし始めた。
部品を調達し組み立てる。へこみを叩く。必要なパーツはどこにある?
どうしても間に合わない部品は今回出走していないピンクから調達する
引取りに地元まで取りに帰る者。大変だろうとパーツ屋を紹介してくれたり
部品を調達してくれたり。多大に協力してくれた周囲の方々。
普段は交わることは無いけれど困った時は全力で
皆が掛け値なしに協力する。人間の良い部分を濃縮したような展開が繰り広げられた。
入れる時間ぎりぎりまで必死に作業にかかるメカニック
全てはフクの素晴らしい走りに応えるために。
レースは様々な人々が関わると前に書いたが
これほど分かりやすいシュチュエーションは無いだろう。
前掲の横転した2枚目写真。フクが祈るポーズを取っているのが見て取れる。
それと同時刻。モニターの前でエースエンジニアのオガも前に同じポーズをしていたのだ。
偶然ではない。ただただ同じ気持ちだったからこそだ。
参戦するのはドライバーだけではない。
安心して走れるようマシンを整備するこんなメカニックがいるからこそ
成り立っている。
早朝から再開し、朝食も忘れて作業に没頭し気が付けば朝の10時・・・・・・・・
見事に走れる状態になった22号車が佇んでいた。
(つづく)
激闘!ヴィッツレース 富士!
2018.12.26
今年ももうすぐ終わる。
今年1年はまさしく高低差のある1年だった。
トラブルで大きく順位を下げた事もあったが、
念願の表彰台に初めて上がった年でもある。
悔しい思いもしたがそれを引いても余りある歓びも感じれた年だった。
そんな悲喜交々の1年。今年もやってきた最後の締めくくり。
結果的に平成最後となった今年の集大成。
VITZ RACE グランドファイナル
富士スピードウェイ
予選ではコンマ1秒の差でピンクが脱落・・・
やはりシーズン中抜けてしまった穴は埋まらなかったか・・
でも立派に約束は果たし最高資格をひっさげて帰ってきた。
それだけでも拍手を送りたい。今後に期待だ。
エースが駆るレッドは5位、ブルーは6位という結果。
1年前、2年前なら狂喜乱舞するほどのポジションだ。
それが普通と思えるほど今のレベルは高くなっている。
エースはもちろんルーキーの成長も目覚ましい。
今回も全てわが社のエンジニアが段取りをしてくれている。
タイヤ1つ完全に整備され窓1つ曇りがない。
当たり前のようにマシンは佇んでいるがそこに到達するまで
様々な紆余曲折がある。
来年にはエンジニアを主役とした物語を書こうと思う。
いや、書けるくらいにドラマがあるという事だと理解してほしい。
様々な想いを載せて運命のスタートだ。
今回はルーキーが駆るブルー視点でのレポートとした。
ブルーは勢い余るレッドとは少し違う。でも理想のスタートだ。
前を走るマシンが自分の理想のラインに載せるために
右往左往するその中に於いても沈着冷静に
第一コーナーへと侵入し、外側からの進入になったにも
関わらず1台をパスして順位を上げる。
視界にレッドが飛び込んでくる。
レッドとブルーが前後で連なって走るその更に前で
激しい順位争いが繰り広げられる。
1ミリでも先に・・・の精神が車を前に押し進め、
砂埃と共に車が歪む。1台がスピンしたと同時に順位も
上がり順調だ。
1週目でバトルがありレッド4位、ブルーが6位に浮上
間にいる5位がとてもアグレッシブにレッドにプレッシャーを
かけ始める。
その刹那にレッドの動きに集中している5位の隙間を
狙ってブルーが鼻先をねじ込んだ!
焦った5位はコーナーにも関わらずフルスロットルで突進
レッドのリアに追突する・・・。
ストールしてしまいスピンで逃げる事も出来ず、かといって
アクセルを開いて体制を立て直すとしても後続の迷惑になる
という四面楚歌に陥った。
時間にするとほんの数秒の出来事だ。
レースはコンマ数秒の差が大きな差になるという言葉を
否が応でも体感した瞬間だった。
相手の鼻先で完全に横に向けられたレッドは何もすることが
出来ない。ただただ後続の車が事故しないよう祈るしかない。
「よけてくれ・・・よけてくれ・・・・」
今迄築いてきたノウハウも知識も役には立たない。
第4戦以降今回も予選から調子を上げていただけにエースの
マインドダメージも計り知れない。
フロントに流れていく後続車を忸怩たる思いで見送る。
不幸中の幸いか接触はなく一番後方からの再スタートが切れた。
しかし再スタートが切れたとしても一番後方・・・・・
もう上位に食い入れる可能性はゼロに等しい。
レッドは社内でも憧れられるほどのカリスマ性のある
名実ともにエースドライバーだ。そのエースが未曾有の
危機にさらされている。
その危機に熱い想いを爆発させる男がいた。
エースに憧れてドライバー志願してきたブルーだ。
さっきのクラッシュの弾みで若干のコースアウトを
力技でリカバリーししかも抜き返し5位に浮上!
コースアウトでそのまま時間が止まり少し流した後
今迄の彼とは思えない猛追を見せ始める。
コーナーギリギリまで車速を保ちつつタイヤをねじるように
コーナーを駆け抜けていく。
ドリフトに近い状態でコーナーを抜けてまさしく「最短距離」を駆け抜けようとしたが仇となり2台に抜かれるが、
「こいつらには絶対に負けん!」そんな気迫がひしひし
伝わってくる。
普段冷静沈着、いつの間にか後ろにいる常に計算が出来る精密機械。
その彼がエースの危機を救うために。ネッツ神戸のレースを
支えるために、マインドモードをMAXにした。
あっという間に前の2台に鼻先まで近づき1台と並んだ。
そこでホームストレートに入る。
メータに注目してほしい。お互いアクセルMAXでフルスロットルだ。
激しく上がっていくメータをよそに景色だけが早く流れて
車は止まって見える錯覚に陥る。
車に性能差はないのだから当然なのだが不思議な感覚だ。
少し・・・ほんの少し前に出た瞬間ブルーは激しく
頭を揺らして喜びを表現する。
がそれも束の間、相手も追い上げて横一線のまま第一コーナーへ
差し掛かる。でも流石冷静だ。ストレート前から計算し
イン側を取ってコーナーへ飛び込もうと意気込んだのだ。
しかし上位ともなると猛者ばかりだ。その車ばかりか
その隙をついて2台も前に躍り出る。
続くコーナーは殆どブロックされた形になり大きな壁に
悩むことになる。
手を出せば届きそうな殆どくっついている距離での鬩ぎ合いが続く。
最後は順位を1つ上げ、ブルーは7位でフィニッシュした。
半狂乱で喜びを表現していい順位だ。十二分に凄い順位だ。
今回はブルーが7位か・・・やっぱ凄いなあいつは!
そう思った刹那、風のように「ヒュン」とホームストレートを
駆け抜ける車がいた。レッドだ!
競った時のフルスロットルの時に轟かせるあのエキゾースト音。
他の車を一気に抜き去る勝負強さ溢れる走り。
皆さんはアクセルを踏んで返ってくるエンジンの咆哮に
心を奪われた時があるだろうか。
そのサウンドが運転意識を刺激してドライビングプレジャーを
高揚させるあの感覚。更にアクセルを開けたくなるあの気持ち。
レッドは今そんな状態なのだ。
もう上位に食い込むのは難しい。なのに何故?
会社の看板を背負っているという責任感か。それとも意地か。
いや違う。「諦めない心」を観戦者を含むメンバー全員に
エースとして身を挺して見せているのだ。
思えばこのレース活動は彼から始まった。
折角のその芽を潰したくない。だから・・・・!
順位だけではない熱い想いを魅せてやる!
少しづつ順位を上げていくその姿に観戦者は号泣だ。
実際のデータは違うのだろう。車両も他の出場者と
全く同じだし重さも型式も同じ。でも音もスピードも
そして放つオーラも自分たちには違って見えた。
最後まで諦めることなく果敢に攻め続け、38位でフィニッシュ。
全出走者は53台。あの短い時間で15位も順位を上げた事になる。
今回はグランドファイナル。
年間の結果に対しての表彰式の日でもある。
レッドとブルーは関西シリーズ4位・5位で表彰を受けた。
ドライバーだけが日の目を見ているように見えるが
スタッフは皆理解している。
レースを強力に底から支え続けたエンジニア。
社員とお客様を繋ぐために奔走した女性チーム。
強力なリーダーシップで牽引したGRスタッフ。
店舗での広報活動で尽力して切れた店舗スタッフ。
それら全てを見守ってくれた上層部。
そして・・・キッズエンジニア参加などで
レースも応援してくれたキッズの皆さん。
イベントに参加してくれたお客様。
綿密に絡み合って協力しての結果なのだ。
どれが欠けてもこの結果には結びつかない。
この賞は関わってくれた全員へ贈られる賞なのだ。
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1年間レポートにお付き合い頂きありがとうございました。
書いている私はレース出場した訳ではないですしメカ的にも
ド素人です。お読みになって違うだろと思う事も多々あったかと
思います。この場を借りてお詫び申し上げると共にそれでも
お付き合いいただけたことに心より感謝申し上げます。
ネッツトヨタ神戸はこれからも、レースを通じて当社に
関わって頂ける全ての方が人と車とネッツ神戸を繋いで一つに
なれるよう活動していきます。
次年度も様々なドラマを創って参ります!
楽しみにしていてください!
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